このカードを届けたいのは、誰なのか?
誰のために作るか?
このカードを誰に届けたいのか? これについては、何度も何度も『まちとこ』内で話し合いを重ねました。
もともと、このオノマトペカードは、すでに、言語聴覚士の石上志保先生がフリーイラストで自作したものを、ことばの発達がゆっくり目のお子さんへの言語指導の中で使用していました。私が、このオノマトペカードを知るきっかけとなったのも、ことばがなかなか出てこなかった、当時2歳の自閉症スペクトラム障害の息子の指導を通してでした。
ですから、同じように、ことばの発達がゆっくり目のお子さん、ダウン症などを含む先天性疾患などがあり成長がゆっくり目のお子さん、聞き取りに不自由さを持つお子さんたちに向けて作りたいという思いがありました。
ただ、実際に製作するとなると、かなりの額のお金を先行投資して、大量の在庫を抱えることになります。私たち『まちとこ』は、立ち上げたばかりの、たった6人の小さな合同会社。このカードを作ることで、破産する可能性もあり得ました。メンバーのみんなも生活がかかっているので、やはり、多くの方が興味を持ってくれないモノを作るわけにはいきません。
「この絵カードは障害のあるなしに関わらず遊んで楽しめるモノなので、ターゲット層を増やすために、一般の方に向けて製作した方が良いのではないか?」
「外国人の方が日本語を学んだり、成人の方の認知症や失語症などの療育にも使っていただけるそうなので、子どもだけでなくターゲットを広げてはどうか?」
「いや、当初の思い通り、ことばの発達に不安を抱えているお子さんにこそ届けたい」
何度も何度も話し合いを重ねた上、やはり、この絵カードは、お子さんのことばの発達に不安を抱えている親御さんへ届けたい、お子さんたちのことばの世界を少しでも広げるきかっけになれば…という思いで固まりました。そして、その子たちが楽しめるモノであれば、当然、障害のあるなしに関わらず、多くのお子さんが楽しめるものになるはずだ、と。
そんな思いで、私たちはこの絵カードの製作に踏み切りました。